資本の話ばかりだと寂しい

 半導体への投資が頻繁に話題に登っています。TSMCの工場誘致、IBMの最先端技術を使ったラピダスの設立、日本が得意な材料を製造するJSRを国(産業革新投資機構)が買収、・・・。私は、会社人生の半分は半導体の開発をやっていましたし、残り半分は上記機構の前身が投資したディスプレイの会社の立ち上げに参画しました。思うところはいろいろありますが、お金の話ばかりだとさみしい気がします。会社を成長させる中心は人間と思いたいです。
 我々は生産性向上という言葉を頻繁に使いますが、生産性向上には資本(単純な労働力も含む)によるものと、技術(工夫や意欲なども含む)によるものに大きく分かれると思います。韓国や中国が成長したのは前者の影響が大きいが、高度成長時の日本は後者の影響が大きいと言われています(参考:ポール・クルーグマン「良い経済学 悪い経済学」)。日本の復興を投資を中心とした戦略でやろうというのは残念な感じがします。まず投資というのはあるとは思いますが、技術、工夫、意欲などの人間的なものが中心となっていく世の中にしたいと考えています。